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情報開示等

令和8年度とうきょうすくわくプログラム(2歳児)

すくわくプログラム報告書 2歳児 5月

2026-07-01
1、活動テーマ ~これは何の生き物だろう~
<テーマの設定理由>
5月の園庭では新しい環境に慣れてきた子ども達がそれぞれ好きな遊びを楽しんでいる。虫探しをしている子どもが多く、虫を見つけると保育士や友達にも見せて共有している姿が見られたため。普段見るアリやダンゴムシではないミミズを見つけたのでどんな反応を見せるのかと思いテーマを設定した。もともと虫探しそのものは好きだったが、ゴールデンウィーク前後から、単に「捕まえる楽しさ」から「その生き物が何か知りたい」へと子どもたちの関心が質的に変わった。園庭で立ち止まり、花の色を言葉にしたり、ミミズの不思議さを友だちと共有したりする中で、子どもたちは見慣れた環境を「捉え直す」ようになった
2.活動スケジュール
・園庭での虫探しと花への気づき
・ミミズ発見から「何を食べるのか」という疑問
・図鑑を使った確認と、生態図・コピーの掲示による継続的な関心の支え
・掲示物を通じた、翌日以降の期待感と観察の深化
・散歩での新しい花・虫との出会いと、友だちとの共有
・虫探しでの子ども同士の対話(「大きいね」「怖い」)
・観察しやすい環境への工夫
3.環境をデザインする
【活動環境】
計画を前もって立てるのではなく、子どもたちの気づきを起点に、その日その瞬間の問いに応答することを原則とした。「今日は虫探し」と決めるのではなく、「庭に出たとき、何が子どもの目を止めるか」を保育者が観察しそこから活動を組み立てた。
散歩も「花を探そう」という大人の企画ではなく、「園内にはない何かがあるかもしれない」という子どもの期待感に基づいている。結果、園外で見つけた多様な花の色が子どもたちの言葉を豊かにした。
 
【人的環境】
子どもたちの「何だろう?」という問いに対して、保育者はすぐに答えるのではなく、「図鑑で一緒に調べてみようか」と、問い返す姿勢を大切にした。図鑑の中で見つけた情報を、子どもたちが自分の目で確認した生き物と重ね合わせる経験は、やはり図鑑だけで得た知識とは異なる質を持った。
さらに、虫探しの中で子ども同士が「大きいね」「ここにもいるよ」と声をかけ合うようになった時、保育者がそこに入り共有することで、感動が「個人の体験」から「みんなで感じることばの経験」へと変わった。
 
【物的環境】
・虫かご:見つけた生き物をすぐに観察できる、身近な道具
・図鑑:子どもたちの問いに即座に応答し、「本当にそうか」を確かめるためのもの
・シャベル:直接触ることに抵抗のある子どもも、間接的に虫を探れる工夫
・ミミズのポスター(生態イラスト・飼い方・食べ物の情報):知りたい気持ち  を継続させ、子どもたちの問いに「答え」を可視化するもの
4.活動の実践 (活動中の子どもの姿、声、子ども同士や保育者との関わり)
「園庭での気づき―「黄色だね」という言葉が開く世界」
 
・プランターの花を見つめた子どもが、「黄色だね」とその色について言葉にすると別の子どもが「可愛いね」と応じる。色という、これまで意識せずに見ていたかもしれない視点が、子どもたちの中で立ち上がった。黄色い花。それは、単なる「花」ではなく、「黄色い、かわいい何か」へと変わった。保育者は、子どもたちがプランターの花に気づいたそのとき、その場で一緒に立ち止まり、「黄色だね、本当だ」と共感を重ねた。
 
「ミミズとの出会い―「これはなんだ?」という問いが生まれる瞬間」
 
・「これはなんだ?」と見つけたのはミミズ。図鑑の中の生き物ではなく実際に存在する「生き物」。動く、反応するその瞬間、子どもたちの関心の質が変わった。虫探しは以前からの遊びだったが、ここで起こったのは単なる「捕まえる楽しさ」ではなく、「この生き物が何なのか知りたい」という思い。その場で友だち同士の小さなやりとりが生まれた。「ヘビいた」「ちがうよミミズだよ」友だちが「ミミズ」という名前を知りその知識を教えてもらう。この「ミミズ」という言葉は知識ではなく「共有された意味」へと変わる。一人の子どもが別の子どもに教える。その行為を通じて両者の間に「一緒に何かを確認しよう」という気持ちが生まれた。保育者はこのやりとりを見守りながら図鑑を持ってくる。子どもたちは、自分たちが見ている「この小さな生き物」と図鑑の絵を重ね合わせ「あ、これだ」と確認。つぎにポスター制作を行いミミズの生態をイラストで示し「飼い方」「食べ物」といった情報を目に見える形で部屋に貼った。図鑑で知識を得ることとは異なり「自分たちの目で、確実に存在するものを、自分たちが確かめた」という確信に満ちた学びだった
 
「散歩への広がり―園外で確かめる意味」
 
・「他にはどんな花や昆虫がいるのか」という問いから、散歩という活動が自然と生まれた。園から出て子ども達が立ち止まって見つけたものは「紫のお花」。園庭で見たプランターの花は「黄色」だったが、散歩の中で出会った花は「紫」だった。「ピンクもあったね」と色についての言葉が子ども同士で重ねられていく。保育者は子どもたちが立ち止まったその場所を全員で立ち止まれる時間へと拡げていった。散歩中は他にも発見があり「アリいたよ」「大きいね」「怖い」と同じ虫を見ながらも子ども同士が発する言葉は異なる。一人は「見つけた喜び」を、別の人は「大きさへの驚き」を、また別の人は「怖さ」を感じていた。保育者はこれらの異なる感覚を「共有」し、否定することなく、むしろその違いそのものを大事にしていった。
5.活動の様子が分かる写真
6.振り返り
初めて出会う季節の生き物との関わりの中で子どもたちが自ら問いを立て、友達と発見を共有する姿が印象的だった。「これはなんだ?」という問いから始まる探究。「ちがうよ、ミミズだよ」と友達に伝える姿。「可愛いね」と感情を共にする場面。これらはすべて子どもたちが自分たちの力で世界と出会っている証であった。特に気づかされたのは、一人ひとりの関わり方の違いが尊重できたことである。直接触れる子、シャベルで探る子、少し距離を置いて眺める子。どの関わり方も同じだけ大切な探究であることが、この実践の中で体現された。ミミズという出会いを「教える対象」ではなく、「子どもたちが自ら発見し、感じ、学び直す場」として設定できた。散歩での「紫のお花」という一人の子どもの気づきが「みんなの学習」へと広がったように、色への興味と虫探しでの多様な感覚(「見つけた喜び」「大きさへの驚き」「怖さ」)が、それぞれに認められ、その上で共有される体験が、子どもたちに「どんな感じ方も大事」という確信を与えた。これからも季節の変化の中での自然物との出会いを大切にしながら、子どもたちの感覚がさらに広がり、世界への好奇心がより深まっていくよう、環境と関わりを整えていきたい。
社会福祉法人慈光会 久米川保育園
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