令和8年度とうきょうすくわくプログラム(0歳児)
すくわくプログラム報告書 0歳児 5月
2026-07-01
1、活動テーマ ベビーカーから広がるせかい、感じる季節や音の心地よさ
テーマ設定理由
入園から少しずつ園生活や保育士に慣れてきた5月。室内での遊びや保育士との関係が少しずつ深まるなか、子どもが外の世界に出会い、自分なりに感じる経験を積み重ね季節の自然を心地よく感じることを大切にしていった。4人乗りベビーカーでの散歩を通して外の空気に触れ、花や葉、鳥の鳴き声、風といった自然の感触を全身で受けとめる‥。それらの反応によりこのテーマを選んだ。
2.活動スケジュール
・テラスで外気浴・玩具遊び・這い這い・伝い歩き
・初めての散歩(4人乗りバギー)/低月齢児はテラスで外気浴
・月齢の大きい子(4名)4人乗りベビーカーで園周辺散歩
・メタルフォンによる音楽あそび・保育士との関わり
3.環境をデザインする
【人的環境】
・発達の違い(歩行開始・伝い歩き・這い這い)を把握し、それぞれが満足して遊べるよう室内とテラスの環境を整えた
・バギー・ベビーカー移動中に、保育士が花・葉・鳴き声・車の音に言葉を添えることで、子どもが感覚をもとに世界を広げられるよう関わった
・誤飲や、トゲ・かぶれのある植物に触れないよう、保育士が事前に安全な草花を見極めて注意を払う。
・子どもが手を伸ばしやすい位置に草花を提示し、自発的な「触りたい」という意欲を見守り関わった。また、子ども達の「なんだろう」という表情や仕草を捉え、「きれいだね」「優しく触ってみようね」などと声をかけ、発見の喜びを共有した。
・メタルフォンを叩いて音を鳴らそうとする子に「音が鳴ったね」「今度は高い音だよ」など応答的に声をかけた。
・保育者の模倣をし、バチを持ち上下に振る姿がみられた。口に運んだり、近くのお友だちにぶつからないよう見守る
・バチやメタルフォンを自分だけで触りたくて引っ張りあう姿があった、保育者が仲立ちをしながら演奏につなげる。
【物的環境】
・月齢に応じてテラス外気浴・バギー散歩・ベビーカー散歩を使い分け、個々の発達段階に合った「外との出会い」を準備した。
・新たに購入したメタモルフォン(鉄琴)を用い、音の豊かさや音楽を通じた保育士との関係構築を意図した
5.活動の実践 (活動中の子どもの姿、声、子ども同士や保育者との関わり)
「テラスで風を感じる」
・テラスに出ると、子どもたちは風の感触に顔をあげた。玩具に手を伸ばしたり、這い這いで自分の行きたい場所へ向かったりしながら、自分なりに空間を探索していた。とくに印象的だったのは、園庭で遊ぶ大きい子たちの姿を目で追い続ける子どもの様子。声を出したり手を伸ばしたりするわけではないが、まなざしが向かうその先に「あそこに行きたい」という気持ちの芽生えが感じられた。
「はじめての散歩」
・バギーに乗って園外へ出た瞬間、子どもたちの表情はさまざまだった。保育士が花や葉を近づけると、すぐに手を伸ばして触れようとする。一方で、慣れない空間に緊張したように体を固め、保育士の顔をじっと見つめている姿もあった。どちらも、その子なりに「外」を全身で感じているのだと思えた。
「音を聴きながら、外を感じる」
・保育士が「チュンチュンと鳥さんが鳴いてるね」という声かけをすると、音のした方を向いたり、鳥の声に顔をほころばせた場面があった。「ブーブーが通ったよ」と声をかけると、目で車を追いかける姿も見られた。まだ言葉にならないが、「聴いている」「感じている」ことがはっきりと伝わり、外の音が子どもたちにとって「意味のある音」になりはじめていることを感じた。
「音を体で受け止める」
・新しく購入しためたるメタルフォン(鉄琴)を奏でながら歌いかけると、子どもたちは耳を澄ませて聞き入った。音に慣れてくると腰をゆらして楽しむ姿も見られ、音楽を「聴く」のではなく「体で受けとめている」ような、やわらかい動きへと繋がった。保育士が「いないいないばあ」をすると、予測して笑い声をあげる子も。保育士との関係が、「安心の土台」から「楽しさを分かち合う関係」へと育っていることを感じた。保育士との応答的な関わりの中で笑顔やいないいないばあへの反応など、情緒的なつながりが深まった。またメタルフォンを使用し、音の違いや響きに触れる中で、「なんだろう」「触ってみたい」という気持ちも芽生えたように感じる。
7.振り返り
5月の爽やかな気候の中、子どもたちは自然との関わりを通して、五感を使って探索の世界を広げた。ベビーカーでの散歩では、草花という自然物への興味・関心が豊かに引き出され、見るだけでなく「触る」「握る」「匂いを嗅ぐ(口元に近づける)」といった探索行動が見られたことは、大きな成長である。一方、普段あまり聴くことのないメタルフォンの綺麗な音色も、子どもたちの好奇心を大きく引き出した。「自分が触ると音が鳴る」という気づきを通じて、子どもたちは能動的に何度も叩き、試行錯誤する姿が見られ、リズムに合わせて身体を動かしたり、笑顔で応答したりするなど、音との関わりを深めていった。
これら両方の活動を通して気づかされたのは、子どもたちは音を「聴く」だけ、自然を「見る」だけではなく、「触れて確かめよう」とする主体的な姿勢である。一人ひとりが自分なりの方法で自然や楽器に関わろうとし、また最初は異なる遊びをしていた子も、他のお友だちが興味を示す様子を見て関心へと広げていく。周りの状況や他児の行動を気にかけながら過ごしている子どもたちの姿から、感覚的な学びが同時に社会的な気づきもはぐくんでいることが見えた。
今後は、子どもたちの人数に見合った数の楽器や素材を用意し、一人ひとりが思い思いに触れ、感じる環境を整えたい。ベビーカーから降りて直接草や土の感触を肌で感じる機会を設けるとともに、季節の移り変わりに合わせて、音(葉の擦れる音)や色(秋の紅葉など)など、異なる自然の刺激にも触れられるよう計画していく。また、子どもの発達や興味に合わせた多様な素材を用意し、様々な物を叩いて音の違いを楽しめる活動へとつなげ、感覚の豊かさをさらに広げていきたい。安全面では、誤飲やケガにつながらないような素材選びを重視していきたい。






